広島の「未完成」
2017年2月16日 中国新聞を始め全国5紙に掲載いたしました。
広島の復興はクラシック音楽と共にあった。
演奏会場は、窓のガラスが破れたままの旧制広島高等学校(現広島大学附属中・高等学校)の講堂でした。
指揮者は故・竹内尚一氏で、昭和17年まで旧制広島高等師範学校附属中学校(現広島大学附属中・高等学校)の音楽教師でしたが、被爆当時は島根大学におられました。
演奏したのは30人ばかり、プロ、アマ問わず手元の楽器をもって集まった方々だったと思います。音程も不正確でした。
聴衆には小学校(当時は国民学校)2年生の子供も交じっていました。当時は子供でも立派な労働力でした。
竹内尚一氏が広島の生存者たちに、「未完成」がなぜ必要と判断されたのかわかりませんし、シューベルトがどんな光景を想定してこの曲をつくったのかわかりません。
ともかくその後の広島では、クラシック音楽を聴く機会が増え、クラシック音楽に含まれている理想主義的心情は、故・濵井信三市長と生き残られた方たちによる広島の復興の精神的支柱となり、理想的な街づくりを実現しました。
戦後70年を過ぎたいま、戦争をなくし、平和な世界を目指すために、音楽の持つ理想主義を、改めて次の世代に引き継ぎ、世界に広めていく義務が、広島にあると思います。
昭和21年 理想よ甦れ!
それは生き残った人々に、
共感と勇気を与えた。
曲を聴きたい方は「再生」ボタンを押してください。小音量のためボリュームを上げてお聴きください。
この演奏会についてご記憶のある方、実際に演奏された方とその家族、聴衆の皆さんを探しています。
掲載情報・写真
2019年(平成31年)2月8日(金)
日経新聞
2019年1月31日および2月2日に東京文化会館で開催、ムーティー指揮、シカゴ交響楽団、東京オペラシンガーズ出演のベルディ・レクイエムの公演がありました。その評論が2月8日の日経新聞に掲載されました。